若手外科医が抱える問題
医療現場で患者の治療に携わっていきたいと将来の仕事を思い描くと、その職業として真っ先に思い浮かぶのは医師でしょう。患者に対して病気の診断を行い、その治療方針を定めて実際に治療を行っていくという立場になるため、他のどの仕事よりも患者に対して貢献できたという実感が伴うと期待できるからです。さらに具体的な医療内容に注目すると、薬物投与によって治療を行うよりも、自らの手で手術を行うことで治療が達成されればその満足度も高くなることでしょう。そういった考え方から、オペ室で活躍する医師を目指して外科医となるのは、医療に対して大きな貢献となる選択です。
しかし、そういった理由で外科医を目指した際に直面することが多い問題があります。それは、研修医や若い医師の間にはなかなかオペ室に入ることができなかったり、執刀医としてではなく、補助として入ることしかできないということです。特に、技術的な難しさが多い脳血管系の手術を担う外科の場合にはベテランの医師がほとんどの手術を担ってしまい、若いうちにあまり経験を積めないことがあります。これは外科医の多くが自分の手技を使って治療をするということに魅力を感じているからであり、ベテランとなるほど自分が活躍したいと考えがちだからです。もちろん、患者の命を預かっている以上、新人よりもベテランが執刀した方がリスクが少ないという理由もあります。大病院になるほど優秀なベテランが多いことから、機会が得られにくいという傾向があるため、よりオペの機会を得たいと思ったら中規模以下の病院に移ると良いでしょう。